Episode3|廃業寸前で跡を継ぐことに

Episode3|廃業寸前で跡を継ぐことに

果実園なかむら

廃業寸前だったとは...

当時大学院生だった10代目は、上京をして故郷を離れ、東京での生活を満喫していた。

将来は漠然と農業を継がなければならないだろうと考えていたが、その時は意外にも早くやって来た。

実家が廃業寸前であることを悟ったからである。


長期休暇で実家に帰省したある日、祖父母の高齢化によって「畑の規模を大幅に縮小する」という話を聞かされた。

両親も定年までは期間が空いていたため、「あぁ、このままでは後を継ぐ間もなく廃業する」と思った。

子どもの頃から責任感が人一倍強かった10代目は、農家の長男として家業を守り繋いでいくことを決意した。

当時農家は馬鹿がなる仕事だと言われていたが、そんなことは全くなかった。

「JA一強が崩壊している現代では、JAにおんぶに抱っこではダメだ。生産〜販売、その後のフォローまで全てやっていかなければならない。」と考えた。

でも今の自分には力が足りないから、一度社会に出て勉強をすることを決心した。

渋谷のマーケターから須坂の農家に

小さな片田舎にある小さな果実園のように、世界には隠れた魅力がたくさんあることを知っていた10代目。

その魅力を多くの人に伝えられるような人になりたいという希望から、レバレジーズ株式会社でマーケターとしてキャリアをスタートした。

自分の夢や目標に向かって朝から晩まで精一杯働いたこともあり、新規事業の責任者や赤字経路の立て直しを実施したことを評価されて、部門内MVPを受賞した。

充実したキャリアを進んでいた頃、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた。

死者や感染者数が右肩上がりで増えていく現状を目の当たりにした10代目は、いつ死ぬかわからないから後悔したくないと思ったことをきっかけに、若干25歳で仕事を辞めて須坂(すざか)へ戻ることを決意した。

 

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